ニホンオオカミの大好物は、イノシシやシカの肉。
江戸時代の頃、イノシシとシカは田畑を荒らす害獣、だから人間から物凄く嫌われていた。
そんな害獣を退治するヒーローに祭り上げられたのがこのニホンオオカミ。
好きな物を食べていたら、人間から「農耕の守護神」と呼んで神様扱いされたのだ。
ニホンオオカミにとってはラッキーだったろう。
江戸幕府第5代将軍徳川綱吉が制定した「生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)」は、生き物すべてを保護する混乱の法令だった。
特に、犬が特別に保護された事で有名なだけど、オオカミもイヌ科だからついでに手厚く保護されたそうだ。
またしても、ニホンオオカミにとってはラッキーだったろう。
ニホンオオカミの遠吠えは、遠くまで響き渡り。家の障子などビリビリ振動したそうだ。
もちろん、保護されているので我慢!
でも、うるさいだけの遠吠えではなかった。
山火事などを発見すると教えてくれたりもしたそうだ。火が怖いから恐怖心で遠吠えの声が違ったのだろう。
ラッキー続きのニホンオオカミ。
しかし、ラッキーは続かない。
海外から輸入した洋犬が、狂犬病などの伝染病を持ち込んでニホンオオカミに感染!。
気性が激しくなったオオカミは、家畜や人間を襲撃!
神から一気に害獣に転落!
人間の得意技である手のひらを返しによって、ニホンオオカミ狩りが始ったのだった。
日本の山間部では、狼信仰が存在していた。魔除けや憑き物落としてオオカミの頭骨などを祭るのが流行したのだ。
特に江戸後期から明治初期の時期は、狼信仰が大流行!
洒落にならないほど数多くのニホンオオカミが殺されたのだった。
そして、1918年には日本の生態系の頂点に君臨していたニホンオオカミは、地球上から消えたのでした。
絶滅した後も受難は続く。
ニホンオオカミの最大の売りだった「日本の固有種」。
それが、2014年9月にDNAを解析した結果、日本の固有種ではなく、現在も世界に広く生息しているオオカミに属する亜種だったと判明。
12~13万年前に大陸と日本列島がつながっていた時に東の果てまでトコトコ歩いて来た迷いオオカミだったのだ。
絶滅動物は死んだけど、絶滅動物の情報は生きているのだ!(名言風に・・・)
バイバイ、ニホンオオカミ!
ちなみに・・・昔の戦では、オオカミのウンコは狼煙(のろし)に使うと煙いがちゃんと上に行くので重宝されたそうだ。他の生き物のウンコだと風に流されてしまうらしい。
種類・食肉目 イヌ科
食べ物・シカ、イノシシの肉
大きさ・体長95~114cm。尾長30cm。肩高約55cm大陸にいるハイイロオオカミや、北海道にいたエゾオオカミと比べるとかなり小型だった。
生息地・北海道以外の日本列島