ベーリング海で座礁したセント・ピーター号のステラー様御一行。
破損した船を直すため、漂着してから9ヵ月後に、島から脱出する作戦をたてる。
座礁したベーリング海では、今まで見た事がなかった生き物が沢山いた。
「巨大な海牛」ステラーカイギュウ、今でも人気者のラッコやオットセイ、そして絶滅種であるメガネウなどだ。
ステラー達は、脱出後の長旅に備えて食料を調達する事にする。
何かと便利なステラーカイギュウを狩りを始める。
ステラーカイギュウの肉は、日持ちが良く、味は子ウシのようだったそうだ。
ミルクは、バターに加工されて、脂肪は、ランプの燃料になった。
燃やされた脂肪のニオイは、アーモンドのニオイがしたそうだ。
また、分厚い皮は、破損したセント・ピーター号の水漏れ防止などに使われた。
捨てるところが無い、とっても便利な生き物だったのだ。
1742年8月に脱出作戦が決行される。
ステラーたちは、無事に母国イギリスに帰ることに成功。
約10年後の1751年に、ステラーはラッコやオットセイ、メガネウそしてステラーカイギュウの事を詳しく書いた観察記を発表してしまったのだ。
これによりヨーロッパやロシアの人々に、珍しい生き物達の存在がバレる。
肉・皮・脂肪・・何でも利用できるステラーカイギュウは、人間にとっては大金を生み出す黄金の海牛に思えただろう。
大勢の人間が、ベーリング海のステラーカイギュウ狩りに奔走した。
ステラーカイギュウ狩りは、意外と簡単だった。
ステラーカイギュウは、仲間が敵に襲われると助けようとする習性があったのだ。
一頭を攻撃すれば勝手に大きな獲物が集まって来たのだ。狩りをする側にとってはこれほど楽な獲物はいなかったであろう。
1741年に、ステラーに発見されてから27年後の1768年には、ステラーカイギュウは地球上から消えていたのだった。
人々に知れわたってから絶滅したのは、たったの17年だったのだ。
バイバイ、ステラーカイギュウ!
種類・海牛目 ジュゴン科
食べ物・海底や浅瀬で岩についたコンブや藻類などを食べていた。現在のマナティーやジュゴンのにある歯が退化して無くなっていた。そのため下アゴと上アゴのギザギザした角質をすりあわして食べていた。
大きさ・全長7.5~9.0m・体重4トン~12トン
生息地・ベーリング海のアリューシャン列島のコマンドル諸島などの限られた地域にのみ生息していた。